監修・執筆 新井 誠|人材採用コンサルタント
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転職サービスって色々あってどれを使って良いか迷いますよね?
私は転職の際にハローワークのインターネット検索や相談窓口も利用しましたが、早い段階で転職エージェントの3社に絞りました。
ハローワークも転職サービスも事業内容は仕事の紹介です。
ハローワーク |
転職エージェント |
||
doda |
マイナビ |
||
運営組織 | 国(厚生労働省) | パーソナルキャリア(株) | (株)マイナビ |
従業員 |
公務員 |
会社員 |
会社員 |
従業員数 |
職員数:10,536人 |
4,490人 |
9,400人 |
拠点 | 544 | 35 | 71 |
事業内容 |
・職業紹介 |
正社員領域・アルバイト・パート領域の求人メディアの運営、人材紹介サービス、新卒採用支援、教育研修サービス、組織・人事コンサルティングサービス |
・就職情報誌の提供、求人・採用活動に関するコンサルティング |
しかしハローワークよりも転職エージェントの方に私に合った求人が集まっていました。
それはなぜか。
私はハローワークが想定している利用者ではなく、転職エージェントが想定している利用者だったからです。
正直転職エージェントは少し敷居が高い気がしました。
しかし転職エージェントは登録するのも利用するのもタダ。
物は試しで利用してみたところ大当たりだったのです。
ハローワークと転職エージェントは何が違うのか、あなたにはどちらが合っているのかを考えてみてください。
①事業目的が違う
ハローワークは正式には公共職業安定所と呼ばれる国が運営する厚生労働省が管轄する行政機関であり人材を探している企業に対して人材を紹介する事業を行っています。
以下は厚生労働省のホームページからの抜粋です。
民間の職業紹介事業等では就職へ結びつけることが難しい就職困難者を中心に支援する最後のセーフティネットとしての役割を担っています。
また、地域の総合的雇用サービス機関として、職業紹介、雇用保険、雇用対策などの業務を一体的に実施しています。
ハローワークは国の最後のセーフティネットなのです。
日本の中に失業者が出ないことを目的としたの政府の公共事業。
ハローワークが想定している対象者の就職困難者の中には様々な事情で社会復帰が困難な人も含まれます。
さてあなたはそのセーフティネットにかかる人でしょうか。
もし機会があればハローワークに訪問し利用している人を観察することをおすすめします。
首都圏、地方都市など場所により利用している人の質が違いますが、多くの主婦や高齢者もハローワークに職を求めてハローワークに足を運んでいます。
求人票を見てみればエンジニア、営業、ビルの清掃など幅広い求人を見かけることができます。
セーフティーネットとは安全網。
日本において働きたくても仕事が無いという人が出ないようにするための行政機関です。
雇用が安定することは治安や景気を維持するために必須です。
一方転職エージェントは民間企業が運営しているため営利目的、お金が目的です。
転職エージェントの報酬体系は後述しますが、各転職エージェントがそれぞれ得意とする転職市場でより儲かる人材紹介を行っています。
転職エージェントは応募している企業に人材を紹介し転職が成功することで企業から報酬を得ています。
より会社が成長するためにはより業績の良い会社の求人と転職希望者を集める必要があるのです。
②転職者希望者が利用する方法が違う
ハローワークも転職エージェントも転職希望者が利用する場合は無料です。
ハローワークはインターネットサービスやハローワークの事業所で求人を探し、必要に応じて相談窓口で相談員に相談することによる転職活動を進めて行きます。
相談窓口の行列に並んで、空いている窓口の相談員に相談することとなります。
私が利用した時は担当者制度のようなものは確認することはできませんでしたが、多少の融通が利く場合もあるでしょう。
基本的には毎回相談員が変わると思っておきましょう。
転職エージェントは登録するとあなたの担当者となるキャリアアドバイザーから電話やメールで連絡が来て、まずは打ち合わせ(カウンセリング)を行い、あなたの希望や能力・経験が確認され、その後あなたが応募する価値のある(応募して内定が出る可能性のある)会社を公開求人や非公開求人から選別して紹介してくれます。
ハローワークも転職エージェントも履歴書の添削や模擬面接を行ってくれます。
③企業が利用する料金が違う
企業が人を雇いたいと思ってハローワークを利用する場合、求人掲載費はタダです。
一方転職エージェントは成果報酬型、転職エージェント経由で転職が決まれば転職者の年収の20〜40%が企業から転職エージェントに支払われます。
一見転職希望者からしたら関係ないことですが、実は大いに関係があります。
募集をかける企業からすると可能な限りコストをかけずに人材を採用したいと思うのは当然ですが、ハローワークにはセーフティネットを必要としている人たちを始め様々な人タイプの人が集まっていることを理解しているので、企業が自社の要求する人を雇いたい場合は転職エージェントを利用する場合が多いのです。
転職エージェントはハローワークに比べると求人数や転職希望者数が少ないのですが、その分自社の得意とする分野では強みがあります。
企業が求めている人材をある程度理解しているため、募集をかける企業も無料のハローワークよりも有料の転職エージェントの方が利用しやすいのです。
募集企業が恐れているのは自社にマッチングしない人を間違って採用してしまうことです。
すごく誠実で真面目そうだと思って採用したらあまり熱意がなく向上心がなく会社に貢献せずに居座られても困ります。
また向上心があっても誠意や謙虚さが無く社内の人間との関係がうまく行かなくても困ります。
長く勤めて欲しいのに独立心の強い人を雇ってしまうと数年でノウハウを吸収した後に辞めてしまうかもしれません。
これらを書類選考の時点でふるいにかけてくれるのが転職エージェントです。
そしてこれは同時に転職希望者にとってもミスマッチを防ぐことにもつながります。
ハローワークのように求人掲載費が無料の求人媒体だと、募集企業の方での手間が増えてしまったり全く応募が来なかったりということがありえます。
なるべく早く採用したいのに、手間が多すぎて採用活動がはかどらなかったり募集が来なかったりするといつまでたっても採用できません。
その業務を代行してくれるのが転職エージェントなのです。人を雇うために必要な費用はは年収だけではありません。
- 机、イス、携帯電話、パソコン、名刺
- 入社手続き
- 面接の時間、場所などの調整
- 必要最低限の教育
他にも様々なコストがかかりますが、1人雇うのでもこれだけの手間がかかるのですから絶対に失敗をしたくないのです。
また末端社員を使い捨てにするブラック企業や反社会性力の関係企業は求人掲載費が無料のハローワークを利用する傾向があります。
人を使い捨てにするブラック企業はこのように考えています。
- 雇ってもどうせすぐ辞める
- 辞めてもまた雇えばいい
- 何人か雇って1人残ったらいい方
雇っても辞めるのであれば求人にコストはかけられません。
しかしハローワークにはブラック企業を見分けるだけの時間と人員が不足しているのが現状です。
企業側から提出された求人票に問題がなければ反社会勢力の関連企業の求人票が紛れていても見分けられず、また原則拒否はできずその求人票はハローワークに掲載されます。
一方転職エージェントは先述の通り有料。仮に報酬が転職者の年収の30%、あなたの転職後の年収が400万円だと仮定すると120万円です。
人を使い捨てにするブラック企業は出さない金額です。
それだけ人材雇用を重視している企業が求人を出しているのです。
転職エージェントにブラック企業がゼロとは言いませんが、ブラック企業がここまで費用をかけて人を採用するのはちょっと考えにくいですよね。
もしあなたが人の出入りが激しいブラック企業の採用担当者だったらハローワークと転職エージェントどちらに求人を出しますか?
④従業員が違う
ハローワークは行政機関なので中で働いている人は公務員、転職エージェントで働いている人はサラリーマンです。
クビになることがなく就業時間通りに働くハローワークの職員と、売上利益が会社の存続や年収に響く会社員とでは仕事に対する姿勢は変わってきます。
公務員には定時で帰る人が多いでしょうが、転職エージェントの中には土日でも求職者の都合に合わせて面談してくれるキャリアアドバイザーもいます。
キャリアアドバイザーとは求職者に付く転職エージェントの担当者のことです。
ハローワークの職員の中には転職エージェントのキャリアアドバイザーを凌ぐような人もいるかもしれませんが、ハローワークで働く約2万7千人の全ての人がそうだとは限りません。
ハローワークの職員から転職活動の進捗具合について電話で逐一確認されることはまずありませんが、転職エージェントのキャリアアドバイザーは人によってはしつこいくらい進捗を確認してくれます。
競合の転職エージェントにあなたを取られない為もありますが、良いキャリアアドバイザーに当たれば親身にあなたのことを気にかけてくれます。
転職エージェントに登録するとあなたの担当となるキャリアアドバイザーからメールや電話などで連絡があります。
キャリアアドバイザーも人間なので合う合わないがあるかと思いますので2〜3社に登録することをお勧めします。
その後キャリアアドバイザーと打ち合わせ(カウンセリング)を行いあなたの転職の目的や能力・経験・スキルを伝えることになります。
その情報をもとに応募条件を満たす求人を紹介されることになります。
⑤求人数、利用者数が違う
ハローワークを利用する人は1日で推計17万人(厚生労働省職業安定局調べ)。
求人数はハローワークのインターネットサービスを確認したところによると64万件を越します。
多くの転職エージェントで利用者は公表されていません。
求人数はdodaやリクルートエージェントなどでも10万件、専門的な業界や職種に特化した転職エージェントだと数千件です。
ハローワークの方が転職エージェントよりも選択肢が多いのが分かります。
応募してきた企業を拒否できないハローワークは1社1社と綿密な打ち合わせをするのが困難です。
転職エージェントのキャリアアドバイザーは応募してきた企業全ての求人を扱う義務はなく取捨選択ができるので、企業の採用担当者と綿密な打ち合わせができます。
キャリアアドバイザーが担当する求職者をピンポイントで企業にマッチングすることが可能になります。
最後に
ハローワークを利用する人の中には情報弱者が多く含まれています。
あなたが今どのような状況にあっても、この記事にたどり着いたようにインターネットを駆使して情報を集める能力があります。
転職エージェントはちょっと敷居が高いと思ったりもしてしまいますが、あなたにはその敷居をまたぐ権利は十分にあります。
あなたにふさわしい転職サービスが何なのか今一度考えてみましょう。